2020年05月31日

足関節捻挫 後遺症

前回は足首の捻挫に対する評価と治療についてお話ししました。

今回は適切な評価や治療を行う事ができなかった際に現れてしまう可能性のある症状、足関節捻挫の後遺症についてです。

後遺症の具体的な症状として、足関節の不安定性です。捻挫により傷ついた靭帯やその周辺組織が正確に治癒していなかったり、ケガによって衰えてしまった筋肉にリハビリが行なわれていない事が原因となり足首のグラつき、つまり不安定感が出現します。この不安定性が新たな痛みや捻挫を繰り返すいわゆる「クセ」となっていくのです。

 

こちらは数年前に足首の捻挫で靭帯を傷めた方のエコーによる画像です。右側が正常、左側が傷めた方です。青枠内の三角形に見えるのが靭帯です。右側に比べ左側は三角形がはっきりせず靭帯が太くなっていたり黒く見えていたりします。

この方は受傷後、特段治療は受けずにやり過ごしてしまったそうですが現在でも痛みを感じており時々足首を捻るといった事もあり、その度に軽度の腫れを繰り返しているようです。

こういった後遺症には適切な運動療法が必須です。

チューブを使い失われた筋肉を再獲得するような運動を実施します。これにより緩んでしまった靭帯を筋肉が補填するイメージです。

 

他にも足の裏には様々の感覚を司るセンサーが存在しますが、ケガによりそのセンサーの働きは弱まります。特殊なボードの上に立ちバランス感覚と筋肉を養いつつ、センサーの働きを促します。

これらの運動療法と適宜、物理療法(電気治療など)を組み合わせて不安定性やそれに伴う捻挫グセと痛みを改善させて行きます。

捻挫に限らず外傷は迅速な対応が望ましく、これらの状況に至らないよう治療を行うべきですが、万が一後遺症が残ってしまっている状態でも諦めずに是非運動療法を実践してみて下さい。

 

この記事を書いた人

あさの接骨院 院長 浅野剛史

あさの接骨院 院長 浅野剛史

あさの接骨院の院長の浅野剛史です。令和2年4月、春日部市上蛭田に当院を開設させて頂きました。
厚生労働省が認定する国家資格である柔道整復師の資格(接骨院の開院にあたり、必須の資格です)を持ち、約10年間、整形外科クリニックに勤務した後、独立開業に至りました。
医学的根拠のある施術方針をご提案して、地域の皆様の健康に貢献していきたいと思っております。