2024年08月02日

膝の後ろ側の痛み/膝窩筋

階段や動き始めの動作、膝を曲げた時などの

膝の後ろ側に出現する痛みの原因の一つとし

て膝窩筋が関係していることが考えられます。

 

 

 

 

膝窩筋とは


膝の後ろ側を、「膝窩」といいます。

膝窩筋はその名の通り膝窩に存在し、太もも

の骨(大腿骨)から脛の骨(脛骨)にかけて膝の

後ろ側で関節をまたぐように付着しています。

 

 

 

 

膝窩筋の機能


膝窩筋の働きとして、脛を内側へ捻る(内旋)

動作や膝を曲げる(屈曲)動作を担っています。

 

 

 

膝窩筋と半月板の関係


膝窩筋には上述した膝関節への動作の他に

重要な働きがあります。

それが半月板との関係です。

 

 

膝関節のクッションの役割をする半月板は

内側と外側に分かれて存在します。

このうち外側半月板に対して、膝関節を曲

げた際に半月板が関節に挟み込まれるのを

防ぐ役割が報告されています。

 

膝窩筋が上手く作用しない場合、しゃがみ

込んだ際などに膝の後ろ側、特に外側の方

に痛みを感じる場合にはこの膝窩筋の機能

が障害されている可能性が考えられます。

 

 

 

膝関節の安定性


膝窩筋は外側側副靭帯と膝窩腓骨靭帯と共

に膝後外側支持機構(PLC)を構成していま

す。

PLCは膝関節の回旋動作を中心とした安定

性に重要な組織とされています。

その構成要素である膝窩筋も言うまでもな

く膝関節の安定性、特に内反(脛が内側に入

る動き)と外旋(脛が外側に捻れる動作)に対

する制限や安定性が報告されています。

 

 

 

 

膝窩筋の運動療法


運動療法は膝窩筋の機能を改善し、膝窩の

痛みを改善することが期待されます。

しかし膝の後ろ側にある膝窩筋を触知する

ことは容易ではなく、その機能も複雑であ

るため比較的難易度が高い運動療法のひと

つと言えるかもしれません。

自身でのセルフエクササイズを始める前に

一度、専門家の指導を受ける方が効率的か

もしれません。

 

 

 

 

まとめ


膝窩は解剖学的にとても複雑な構造をして

おり、膝窩筋はあくまで痛みの原因のひと

つと考えられます。

膝窩筋は外側半月の挟み込みを抑制したり

膝関節の安定性と深く関連しています。

2010年のLapradeらの報告では、膝窩筋は

前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、

外側側副靭帯などの膝の主要な靭帯に次ぐ

第5の靭帯であると述べています。

これらのことから、膝窩部痛に対する評価

において膝窩筋は非常に重要であると考え

られます。

 

 

 

【参考文献】

1)Current concepts on the morphology

 of popliteus tendon and its clinical

 implications.J. Zabrzyński, G. Huri,

 A. Yataganbaba et al.

 

2)Analysis of the static function of the

 popliteus tendon and evaluation of

 an anatomic reconstruction: the

 “fifth ligament” of the knee.

 LaPrade RF, Wozniczka JK,

Stellmaker MP, et al.

この記事を書いた人

あさの接骨院 院長 浅野剛史

あさの接骨院 院長 浅野剛史

あさの接骨院の院長の浅野剛史です。令和2年4月、春日部市上蛭田に当院を開設させて頂きました。
厚生労働省が認定する国家資格である柔道整復師の資格(接骨院の開院にあたり、必須の資格です)を持ち、約10年間、整形外科クリニックに勤務した後、独立開業に至りました。
医学的根拠のある施術方針をご提案して、地域の皆様の健康に貢献していきたいと思っております。