2021年03月14日
手首の腱鞘炎 小指側の痛み
手首の腱鞘炎といえば親指側(橈側)の痛みが多く、ドケルバン病として一般的にも広く知られています。
ドケルバン病の詳しい症状や治療はこちらをご覧下さい。
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しかし腱鞘炎を発生する部位は親指側だけに限った事ではなく、小指側(尺側)にも度々発生しますがあまり知られてはいません。
人の手首には6つのトンネル(区画)が存在し、そのトンネルこそが腱鞘です。
小指側で発生する腱鞘炎とは、このトンネルの第6区画で発生する腱鞘炎です。
この第6区画には尺側手根伸筋の腱が走行しており、この部位での物理的な刺激や摩擦などが痛みの原因となります。
尺側手根伸筋は尺骨溝という骨の溝を通っていて、手首の尺屈(手首を小指側に倒す動作)を行う筋肉です。
また手首の小指側にある軟骨と共に関節の安定性にも関係しています。
買い物袋を持つ動作や手首を起き上がらせ(伸展)手の平を上に向ける(回外)動作などを頻繁に行う動作がこの筋肉の負担となり、またスポーツ障害としても見受けられます。
本来、橈骨と尺骨は連結し関節を構成していますが、これが年齢や過去のけがなどによって離れてしまい亜脱臼の状態である事が度々ありその場合も尺側手根伸筋腱に対してストレスとなり症状の発生因子となります。
他にもタイピングや手先の細かい作業などを頻繁にすると手首を回転させる動作(回内回外)が筋肉の硬さによりし難くなってしまう事や、母指球の硬さなども症状を誘発させる因子となると考えられます。
この症状をチェックする方法として、安定した台などに肘を置き手の平が見えるように捻って(回外)みて痛みがある場合や、その状態で親指から中指を掴んで抵抗加えたまま各指を広げるように力を入れると痛む場合などにはこの症状が疑われます。
またエコーによる画像での評価も有効であり、尺側手根伸筋腱を断面にして観察し第6区画内の腫れや水腫の貯留を認める事もあります。
このような腱炎や腱鞘炎症状に対してはエコーによる観察が様々な画像検査におけるファーストチョイスになりつつあります。
治療方針として、痛みが顕著な場合シーネや装具などを用いて手首を固定します。
また、前腕や母指球を緩める為のストレッチや電気治療なども効果的です。
腱炎や腱鞘炎の症状は痛みも強く難治である場合がとても多いので、これらの症状が疑われる場合には速やかな治療開始を心がけて下さい。
当院では腱鞘炎症状に対してエコーによる評価やストレッチ指導、固定具の作成を行っております。
症状でお困りの方はご相談下さい。
この記事を書いた人
あさの接骨院 院長 浅野剛史
あさの接骨院の院長の浅野剛史です。令和2年4月、春日部市上蛭田に当院を開設させて頂きました。
厚生労働省が認定する国家資格である柔道整復師の資格(接骨院の開院にあたり、必須の資格です)を持ち、約10年間、整形外科クリニックに勤務した後、独立開業に至りました。
医学的根拠のある施術方針をご提案して、地域の皆様の健康に貢献していきたいと思っております。