2024年08月26日

女性に多い、手の腱鞘炎

手首や指などで頻繁に発症する腱鞘炎は

女性に多く見られる症状のひとつです。

特に産後や閉経後など、発症しやすい時

期にも特徴があります。

 

 

手首から親指にかけての痛みを症状とす

るドゥケルバン病は、腱鞘炎の中でも代

表的なものの一つです。

 

 

 

腱鞘炎とは


腱鞘炎は腱の通路である「腱鞘」に、手

の過剰な使用頻度や負担のかかる動作に

よって発症すると考えられています。

 

 

腱鞘炎による痛みは洗い物などの家事、

抱っこなどの育児、パソコンでのタイピ

ングなどによる業務など、日常生活動作

において度々自覚されます。

 

 

 

 


 

代表的な腱鞘炎であるドゥケルバン病

についてはこちら↓↓

https://asano-kasukabe.com/blog/ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)/

 

小指側(尺側)の腱鞘炎については

こちら↓↓

https://asano-kasukabe.com/blog/手首の腱鞘炎 小指側の痛み/

 

 

 

原因


基本的な原因としては手の使い過ぎに

よる腱鞘への負荷と考えられます。

腱鞘炎を発症する方の多くが、同一の

作業を繰り返す動作や負担のかかる格

好を持続する習慣を有しています。

 

 

 

 

女性ホルモンの影響


近年の研究では、頻繁に見られる腱鞘

炎のひとつであるドゥケルバン病の性

別差ついて、女性は男性に比べて6倍

多いとういう報告があります。

これには女性ホルモンのエストロゲン

が関係していると考えられています。

エストロゲンは腱や腱鞘、滑膜の修復

と関係しており、産後や閉経後にはこ

のエストロゲンの減少や活性低下が報

告されています。その影響により腱鞘

が肥厚して腱鞘炎を助長させることが

考えられます。

 

 

 

 

産後の要因


Daglanらは、ドゥケルバン病におい

て産後に度々発症することから、上

述したエストロゲン以外の危険因子

について報告しています。

40週以上の妊娠期間やBMIが25

を上回る場合、ドゥケルバン病の危

険因子としており、これには浮腫に

よる腱鞘への圧力亢進が影響してい

ることを指摘しています。

また同様の研究で、第二子目以降の

出産に比べ、初産で発症率が有意に

高かったことから、子供の抱っこに

対する習熟が影響すると考察してい

ます。

 

 

 

治療


女性ホルモンの影響を受ける可能性

はあるものの、腱鞘炎の症状に対し

て一貫して考えられる要因はやはり

使い過ぎや腱鞘に対する負荷です。

そのことから、患部の安静や保護は

必須となります。装具の使用や患部

の固定が痛みを改善することが期待

されます。

投薬や注射などは一般的であり、ま

た超音波治療の有効性も報告されて

います。

 

 

 

 

腱鞘炎に対する当院での治療に関し

てはこちら↓↓

https://asano-kasukabe.com/tendonitis/

 

 

 

まとめ


手や指の痛みとして一般的に認識さ

れる腱鞘炎は女性に多く発症する傾

向が認められます。

また発症の時期には特徴があり、女

性ホルモンであるエストロゲンの影

響が報告されています。

しかし、症状発症のきっかけに手の

使い過ぎや負荷のかかる動作の繰り

返しは必ずと言える程潜在していま

す。

痛みの改善には、固定や装具の使用

による患部の安静と手の使い方や動

作の改善が肝要です。

 

 

 

【参考文献】

1)Daglan E, Morgan S, Yechezkel M

Rutenberg TF, Shemesh S et al.

Risk Factors Associated With

de Quervain Tenosynovitis in

Postpartum Women. Hand (N Y).

2024 Jun;19(4):643-647.

 

2)Sharma R, Aggarwal AN,

Bhatt SKumar S, Bhargava SK

Outcome of low level lasers versus

ultrasonic therapy in de Quervain’s

tenosynovitis. Indian J Orthop.

2015 Sep-Oct;49(5):542-8.

この記事を書いた人

あさの接骨院 院長 浅野剛史

あさの接骨院 院長 浅野剛史

あさの接骨院の院長の浅野剛史です。令和2年4月、春日部市上蛭田に当院を開設させて頂きました。
厚生労働省が認定する国家資格である柔道整復師の資格(接骨院の開院にあたり、必須の資格です)を持ち、約10年間、整形外科クリニックに勤務した後、独立開業に至りました。
医学的根拠のある施術方針をご提案して、地域の皆様の健康に貢献していきたいと思っております。